バスケのキホン:ディレクション「ノーミドルとノーライン」
こんにちは!
埼玉県久喜市で個人参加型の
バスケットボールサークル「FC Active」
を運営している三浦です。
突然ですが、「ノーミドル」という言葉を聞いたことはありますか?
聞いたことあるような気がする…
「ノーミドル」はディレクション(方向づけ)の戦略のうちの1つで、最近のバスケの主流でもあります。
今回は、ディレクション(方向づけ)の戦略のうちの「ノーミドル」と「ノーライン」についてお話していきます。
バスケの基本になる部分でもあるので、初心者の人はもちろん、まだ理解できていない経験者の人も是非最後まで読んでみてください。
バスケのキホン:ディレクション「ノーミドルとノーライン」【目次】
はじめに、今回お話する内容をサラッと見ておきましょう。
目次
1.ディレクションって何?
2.ノーミドルとノーライン
3.メリット・デメリット
4.どちらがいいのか?
こんな感じでお話していきます。
それでは本題に入っていきましょう!
1.ディレクションって何?
まずはじめに
ディレクションって何?
というところからお話していきましょう。
ディレクションは、「方向づけ」とも呼ばれていて、ディフェンスの際にボールマン(ボールを持ったオフェンスのこと)をディフェンスが行かせたい方向に仕向けることをいいます。
上の図1のような1対1の場面で考えてみます。
例えば、赤のディフェンスが自分の右方向へオフェンスを行かせようとした場合、ディフェンスは下の図2のように位置取りをして仕掛けます。
図2のようにディフェンスが位置取りをすると、オフェンスは無理やりディフェンスの左側を抜こうとせずに、ディフェンスの右側方向へ移動することになります。
ちなみに、オフェンスをディフェンスの左方向へ行かせる場合は逆側に位置取りをすることになります。
こんな感じで、ボールマンをディフェンスが意図した方向へ向かわせるように仕掛けることをディレクションといいます。
2.ノーミドルとノーライン
試合中に1人のディフェンスが好きな方向にディレクションしていいかというと、そうでもありません。
自分が好きな方向に行かせれば良くない?
バスケでは、基本的にオフェンスよりディフェンスが不利になるので、たとえディレクションしたとしても抜かれることが多々あります。
抜かれた場合、他のディフェンスがカバーすることになりますが、ある程度予測できたほうがカバーもやりやすくなり、オフェンスのチャンスを潰すこともできます。
そこで出てくるのが「ノーミドル」と「ノーライン」です。
「ノーミドル」と「ノーライン」は、チーム全体のディレクションの決まり事です。
「ノーミドル」「ノーライン」それぞれ違いがあるので、それぞれ説明していきましょう。
ノーミドル
ノーミドルは、ボールマンをミドルライン側へ行かせないようにディレクションをすることをいいます。
ミドルラインは下の図3の赤い点線部分のことです。
要するに、コートの真ん中へ行かせないようにして、ボールマンをコートのライン側へ行かせるように仕掛けるディレクションです。
ノーミドルは、下の図4のようにオフェンスがトップでボールを持っている場合、始めにボールマンをサイドライン側へ行かせるようにして、最終的にエンドライン側へ追い込むように仕掛けていきます。
ボールマンは、コートのラインより外へ出てはいけないので、サイドラインやエンドラインはディフェンスと同じ役割を果たすことになります。
そこで、サイドラインやエンドラインを味方(ディフェンス)として活かして、ボールマンを追い込んでいきます。
ボールマンとしては、サイドラインに追いつめられると動ける範囲が180度、エンドラインに追いつめられると動ける範囲が90度に制限されるということになります。
ラインも味方
ノーライン
ノーラインは、ノーミドルの逆で、ミドルラインへボールマンを行かせるようにディレクションすることをいいます。
上の図5のように、ボールがオフェンスのA~Eのどこにあっても黄色の矢印の方向へ行かせるように仕掛けます。
ディフェンスは基本的にゴールを守るように位置取りをするので、たとえ1人抜かれたとしても、他のディフェンスが必ずカバーできるようになります。
オフェンスにとっては、ディフェンスが真ん中に集中するため、ペイントエリアに侵入しづらく、距離の長いシュートを打つことになります。
ちなみに、ノーラインは「ノーベース」と言われることもありますが、基本的には同じディレクションのことをいいます。
真ん中におびき寄せる
3.メリット・デメリット
ディレクションの方法として、「ノーミドル」と「ノーライン」があることは分かりましたが
結局どっちがいいの?
という疑問が出てくると思います。
そこで、「ノーミドル」と「ノーライン」それぞれのメリットとデメリットを確認しましょう。
ノーミドルのメリット・デメリット
ノーミドルのメリット・デメリットは以下の通りです。
ノーミドルのメリット
・サイドラインやエンドラインを使って狭い範囲でディフェンスをするため、プレッシャーをかけやすい
・片方のサイドへプレッシャーをかけるので、逆サイドへのパスが出にくい
ノーミドルのデメリット
・カバー(ヘルプ)がしにくい
・逆サイドにパスを出された時に対応しづらい
デメリットの「カバーがしにくい」というのが分かりづらいと思うので説明しますね。
ノーミドルのディフェンスでエンドライン側までボールが動いた場合、下の図6のような配置になります。
ボールは、オフェンスの青Eが持っている状況です。
この場面で、青Eがエンドライン側をドライブして抜いた場合、どうなるでしょうか?
その場面が下の図7になります。
青Eがエンドライン側を抜くと、ゴール下でフリーになってしまいます。
そこで、カバーに行くのが赤Dになるんですが、距離が遠いためにカバーが遅れ、シュートを打たれてしまう場面がどうしても多くなってしまいます。(場合によっては、ファウルを取られてフリースローなんてこともよくあります)
たとえ、赤Dがカバーに行けたとしても、青Dがフリーになり、青Dにパスが通ればシュートを打たれます。
それを防ぐために赤Bがカバーに行くと、今度は青Bがフリーになって…
と、ディフェンスはカバーの連続になってしまいます。
全てカバー(バスケではヘルプといいます)に行ければいいんですが、このローテーションをしっかりするにはディフェンス同士の声掛けであったり、事前の練習が必要になってきます。
ノーラインのメリット・デメリット
次に、ノーラインのメリット・デメリットです。
ノーラインのメリット
・カバー(ヘルプ)がしやすい
・インサイドプレーヤーを守りやすい
・長距離のシュートを打たせることができる
ノーラインのデメリット
・ボールマンがパスを展開しやすい
・逆サイド等の遠い距離へパスが通るとオフェンスがフリーになりやすい
ここもデメリットが少し分かりにくいので説明していきます。
ノーラインのディフェンスで、ミドルラインへドライブされた場面が下の図8になります。
ミドルラインに行かせるようにディフェンスの赤A、B、Dはミドルラインを空けています。
そこへ青Cがドライブをしていくと、赤A、B、Dは下記の図9の黒矢印のように動きます。
カバー(ヘルプ)がしやすいがゆえに、赤A、B、Dの全員がドライブしてくる青Cの側に寄ってしまいます。
そうすると、逆サイドにいる青A、B、Dがフリーになります。
この青A、B、D(特に青D)にパスが通ってしまうとそのままシュートを打たれてしまいます。
たとえ、シュートを打たれなくても、ドライブをした青Cにとっては青A、B、Dの3つの選択肢を与えてしまうことになり、その後の展開がしやすくなります。
4.どちらがいいのか?
「ノーミドルとノーラインどちらがいいか?」
という疑問について
ノーミドルが基本でしょ?
と思う人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。
一番初めにお話した通り、ノーミドルは今の主流なだけであって、ノーミドルが基本という訳ではありません。
ノーミドルにするのか、ノーラインにするのかは、それぞれのチームに合わせて決めていくことが必要です。
ちなみに、ノーミドルが主流になっているのは、日本のチームには背の大きい選手が少ないことが理由です。
背が大きいプレーヤーがいれば、ノーラインを採用した際、ミドルラインにドライブしてきたプレーヤーのカバーはそのプレーヤー1人に任せることも可能です。
しかし、背の大きいプレーヤーがいないチームは、ノーラインを採用した際、ミドルラインにドライブしてきたプレーヤーに対して数人でカバーに行く必要もでてきます。
この場合、ノーラインのデメリットを補うことが難しくなります。
そのため、背が低い分、機動力を活かしてローテーションをしていくノーミドルが主流となっています。
「ノーミドル」「ノーライン」それぞれデメリットはありますが、どれだけデメリットを補えるかも重要で、チームのメンバーによってどちらを採用するかを考えていく必要があります。
最後に
今回は、ディフェンスのディレクション「ノーミドル」と「ノーライン」についてお話してきました。
人によっては、「ノーラインにしてもいいんだ!」と驚いた人もいるかもしれません。
コーチによっては、あたかもノーミドルが基本であるかのように教えることがあるので、ノーラインの選択肢すらないと思っている人もいるかもしれません。
ディレクションに限らず、チームに合った戦略を取り入れて、試合で勝てるようにしていきましょう。
今回のお話が誰かの役に立てば幸いです。
FC Active 代表 三浦
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